幸福恐怖症を抱えた女の幸せ探し -14ページ目

幸福恐怖症

 

 本当にそんな言葉があるかどうかは知らない。

 でも自分の中で「幸福恐怖症」と「たばこ恐怖症」は確実に存在する。

 

 たばこトラウマ (←リンク飛びます)でただ怖いだけ。

 

 幸せになるのが怖い。

 こっちは、明確なコレという原因はわからないけど、多分自分にとって未知のものだから。

 長くつらい状況ののち、ようやく幸せを手にした時。

 すごく嬉しいんだけど、それと同時に徐々に不安になってくるという症状はそんなに珍しいものじゃないと思う。

 インターネットというものを知って5年ほどになる、ネットサーフィンし始めた頃に、そういう症状が世にあることを知った。


 

「きっとこの後に不幸が待っているはずだ」


 

 ただのマイナス思考ではなくて。

 物語のお決まりのパターンが見えているような感覚に囚われるのだ。

 苦しみ抜いた結果、自らその幸せを放棄するケースも。

 


「ほら、やっぱりこうなった」


 

 その時、ホッとするそうです。

 自分の幸せにオチがあることが見えていて、でもそれがいつ来るかと苦悩し、まだこないまだこないと悩み続けた結果、自分からそのオチへ向かっていく。

 

 おいらがこれに寸分の狂いなく当てはまることに気づいた。

 幸せを求めているのに、幸せな状態が続くと恐ろしくなって、逃げてしまう。

 失った時、心の準備がすでにできていて、安心感のようなものすら感じる時がある。

 

「やっぱり」

 

 なんとなく自覚しているのは、母親の話。


 実家にいた頃は幸せだったのに結婚して不幸になった。

 いい人だと思っていたのに裏があった。

 全てのことには裏がある。


 そしてそれは事実として、それのみが幼少の頃からおいらの目の前にあった。

 

 おいらはずっと、家庭というものはがあって、の他人と関わる時は最大限に良いように見せるのが仕事で、では貶し合ったり憎みあったりしているのが当たり前だと思っていた。

 マイノリティではなく、それが一般的だと。

 だから幸せそうな家族を見ても無意識に、「はいはい、表側ね」としか思っていなかったのだ。

 

 

 好きになってくれる人ができたら嬉しい。

 でも、いつかその優しい人が自分を嫌う、憎む日がくる。

 それはいつだろう?

 

 

 そんな風に捉えていた。


 おいらは何があってもいつも笑っていられるし、元気でいられる。

 社交的で、何かあると中心にいることが多い。

 だからプラス思考で明るい性格だと自分で思っていたし、まわりにも思われていた。

 

 つらい時に自分を保っていられるのは、常にの存在を知っていたから衝撃を最大限に抑えていたんだ。

 

 

 今おいらに必要なのは、のない世界を知ること。

 今おいらを愛してくれる人の手を離さないこと。

 

 恐怖心に負けてはならない。

 

風邪ひいた。

 

 実家に戻って早々、風邪をひいてしまった。

 体が弱く、すぐに体調を崩してしまう。

 今年に入って重めの風邪はこれで2度目。

 

 今月から彼の仕事場が変わるため、まだ少しお休みらしい。

 長いGWになった。

 遊びに行きたいのに出られないよ!


 交渉人 真下正義、見に行きたいのにー。

 

 もー。

 

年の差11こ。

  

 彼のおうちでパソコンでヤフーニュースを開いて見ていた時のこと。


 すぐ隣でテレビの方を向いていた彼に、新しく入ったニュースを伝える。

 構って欲しい時にこの手を使う。


「藤井隆と乙葉、結婚するんだってね~」


「あ~、らしいね」


 もちろんそれは最新のニュースではないので彼氏も知っている。

 おいらが目を付けた記事は、そこではなく。

 
 

 お笑いタレント藤井隆(33)とタレント乙葉(24) ←ココ

 

 

「あの二人、9歳差なんだって! 年の差カップル流行ってるかも?」


「おお、まじか。 いいね、どんどん流行ってもらって」


 嬉しそうな彼。

 うちらは11歳差

 年の差のことはおいらよりも彼の方が気にしているのはわかってた。


 

 

「うんうん、余った中年男性、救わなきゃねっ!」

 

 

 

 Σ('д'



 

 パっとおいらの方へ振り返って、彼の目が真ん丸になった。

 嫌な悪寒。


 

 

「余った中年ゆうたなぁぁ~」



 後ろに押し倒され、真ん丸にした目のままの、彼のコショコショ攻撃が襲い掛かった。

 


「うきゃぁー!! ごめんなさいごめんなさい!!」


 

 

 いたずらっぽく目を真ん丸にするのがかわいいと気づいた今日この頃。

 

寝言、寝ボケ……

 

 ぶらぶらしててまた幸せそうな家庭のブログ さん見つけた!(勝手にリンク)

 楽しそうでいいな~と思いつつ。


 旦那さんが寝ぼけて寝言を言いまくるらしい。

 ……お、おいらも結構(かなり)寝ぼける。

 小さい頃はそれこそ、立って歩いて玄関まで行って、一生懸命ドアチェーンを開けようとしていたり重症だったんだけど、大人になってからは行動幅が小さくなった。



 最近やっちゃったことと言えば。
 

 寝ながら電話に出て、しっかり会話し、切った後また寝て、起きた時には電話があったことすら覚えていないトカ。


 届いたメールに意味不明なメールを返信したりトカ。


 動いてはいないけど悪化していると言えばしているかもしれない-ω-

 ゴールデンウィーク中の彼の家でも、ていうか、つい昨日もあった。



「うわー、もうこんな時間やん! 起こしてよ~><」


「3回起こして、3回ちゃんと起きたやん……? で、また寝たし」


「ぇ、知らないよ



 律儀に彼は1時間ごとにおいらを起こし、そのたびにおいらは起き上がり、少しの会話ののちまた眠ったらしい。



「抱きついて、大好きって言ったらすげー嬉しそうな顔してたけど」


「えぇぇ、知らない」


「ガーン」



 おいらが嬉しそうな顔をしたことに彼は非常に喜んでいたらしく、記憶にないと言ったらしょげていた。

 全く、全く記憶になかった。


 むー、でも損したのはおいらな気がする!;ω;

 

目が覚めたら隣に

 

 ゴールデンウィークの間の話。


 たばこの煙を平気だと感じつつも、眠るたびに父親が夢に出てきてうなされた。

 彼の家にいて眠るのが苦痛だなんて癖がついたら、一緒にいられなくなる!

 父親に殺されそうになる夢を見て目が覚めた時、彼は察して抱きしめてくれておいらが落ち着くまで頭を撫でてくれた。

 包まれながら必死でしがみついて、体の震えが早くおさまればいいと願った。


 怖い夢を見ずに眠れて目が覚めた朝、彼がまだ寝ていることを確認して、彼とは逆の方に寝返りを打った。

 それとほぼ同時に、彼もこちらへ寝返りを打ってきた。

 そのまま後ろからおいらを抱きすくめる。

 うおいコラ、手が、どこ触ってんの!

 めちゃめちゃ驚いていると、しばらくしてスースーと寝息、のちイビキ。



「……」



 朝ご飯の時に聞いてみたら、そんなことしてない、知らないと言う。



「え、じゃあ寝ぼけて?」


「うわ、もったいないことした!」


 いや、そういう問題じゃ……(-_-;


 

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 猫の写真貼ってみた^^

 気に入ったデザインスキンがないのです。

 もっとシンプルがいいんだけど、シンプルなものは色のセンスが悪い気が……orz

 奇抜なピンクとか目が痛いしなぁ。

 

たばこ恐怖症になった理由

 

 父の生家はかなりの田舎で、いわゆる古い思考の持ち主が多い。


 女は学を付ける前に嫁に出せ


 これがキーワードだった。

 中学に入ってから、おいらの成績が学内トップを競うレベルだということに父親が気づいたのは三年生になった頃。

 父親は態度を豹変、勝手に、一家丸ごと田舎に引っ越す計画を立て始める。

 おいらから勉強を取り上げ、中卒で嫁に出すために。

 あと、自分のホームシックもあったらしい。

 正直今の時代、中卒でそのまま嫁に出るなんて考えられない。


 勉強さえしていれば母親や教師たちが味方してくれる。

 

 それまでにも父親は、自分が稼いだお金を自分以外が使うことが腹立たしいと考える人で、おいらが中学に入る頃には家にお金を入れなくなった。

 そんな衝突の中いきなり、全ての生活を捨てて、田舎に引っ越そう、と言って「ハイ」となるはずがない。


 おいらの考えた通り、良い成績を取っていれば教師は母親にそのことを良く伝えてくれる。

 母親は優柔不断で父親の言うことに逆らえぬまま生きてきた人だったが、おいらと教師の説得で味方についた。

 元々母親は父親の生家の考え方を嫌っていたため、おいらに英才教育を施していたと言っていい。


 あなたは大学に行くのよ


 幼稚園の頃、そう何度も母に言い聞かされ、それが当たり前の筋書きになっていた。


 もっと勉強したい。

 唯一自分の存在を確証できるものは勉強しかない。

 そんなおいらへの父親の対抗策は、おいらに勉強をさせないことだった。


 元ぜんそく持ちという身体的弱点をつかれた。

 たばこだ。

 幼少の頃、おいらが危険度の高いぜんそく持ちだったにも関わらず平気な顔でたばこの煙で部屋を真っ白にしていた父。

 それが原因で恐ろしい咳に見舞われることも多く、煙=恐怖、の図式がそこから立つのは簡単なことだった。

 完治した中学時代以降も、煙を吸うとその恐怖心から苛立ち、涙がとまらなくなったり身体が呼吸を拒否し、呼吸困難を起こしたりしていた。


 この症状は、中学三年生の頃の対立で一気に悪化する。


 おいらが勉強し始めると、父親は隣の部屋でZIPPOライターの蓋をカチカチ鳴らしだす。

 金属の蓋の音が延々と響き、そこから連想される煙の恐怖がそれだけで湧き上がってきた。

 関係ない母親までヒステリーを起こして叫んだ程、執拗に。

 それでも耳をふさいで勉強を続けていると、たばこを吸い始める。

 煙をこちらに送ってくるので、ライター音との相乗効果でおいらはその家にいることすらできなくなり、夜中0時を過ぎた時間に家を飛び出すようになった。

 勉強道具と100円玉を握り締めて、温かい飲み物を買って、寒いマンションの屋上で勉強。

 体の弱いおいらは何度体調を崩したかわからない。

 

 このとき、父親が何度か探しまわりに来て、おいらを見つけて、にやり、と笑ってそのまま帰って行ったのをおいらは忘れない。


 金属ライターの蓋の開閉の音、たばこの煙に遭うたび、この時のつらい思い出が蘇ってくる。

  

期間限定同棲からの帰還

 

 6日、実家に一時的に帰ってきた時に書いたブログの後、また彼のお迎えで向こうのおうちに。

 たった数時間なのに彼はひどくさびしかったらしく、部屋に戻った瞬間、速攻ハグ。

 こういう時の真剣な顔がどきっとする。

 でもヨシヨシしてあげると、彼のポーカーフェイスは崩れた。


 お風呂にお湯が貯まって、入りに行こうとすると彼も同じように立ち上がってまた、ぎぅーとハグ。

 ちぅしながらどさくさに紛れて服を脱がそうとするので、コラ!!と一喝。

 ちょっとしょんぼりしていた。


 一人で湯船に浸かりながら、かわいそうだったかなと思い直して、戸を開け彼を呼んで手招きした。

 案の定、ぴょんと跳ねるように立ち上がってダッシュで来た。

 たまに見せる、34歳とは思えぬ子供っぽい仕草がかわいい。


 湯船に一緒に浸かりながら、彼の中高校時代の話を聞いた。

 中学生から私学で男子寮にいた彼は、みんなでお風呂に入る時に水鉄砲をしたりして遊んだんだそうだ。

 どれどれ、と真似してやってみたら一発でできてしまったので「やるな……」と少し悔しそうだった。

 少しぬるめのお湯だったから長風呂できて楽しかった。

 おなかが痛くなるまで笑ったのは久しぶりかも。

 

一時帰宅

 ゴールデンウィークはずっと彼のおうちで過ごした。

 超インドア派のおいらたちはそのほとんどの時間をおうちの中で。

 新しいいただきストリート を買ってきて二人で四苦八苦したり、オンラインゲームをしたり、映画を見たり、パソコンをさわったり。

 今日は、昨日食博 で購入したお土産をおいらの実家に持ち帰るために一時帰宅した。

 この日記書いたらまた迎えにきてもらう。


 いたストは結構面白かった。

 正直おいらはこういう、器用に立ち振る舞って遊ぶゲームが得意だ。

 彼は不器用で、すぐ最下位に陥る、性格が出すぎ。

 ドラクエファイナルファンタジーの全キャラクターを混ぜこぜにしたものを使用してプレイできる。

 全シリーズの半分ずつくらいをプレイしているおいらにとってはかなりわくわく。

 一番最初の方のものとかは、歳が小さ過ぎてプレイしていないものもあるのだ。

 彼氏はもちろん古いものの頃はすでにゲームができる歳。


「これ懐かしいなー」


「あ、その頃まだ生まれてないや」


 なんていう会話が今は楽しい。

 思い出プレイバックな音楽番組を見ているとしょっちゅうある。

 

 でも歳の差を感じているようで、そんなに気にしていなかったおいら。

 彼の方が気になっていたようで。

 一昨日、夕食を買って来るついでに錠剤の入った小瓶を購入して帰ってきた。

 栄養食品だ。


「なにそれー」


「……そろそろ健康に気をつけようと思って」


「お~。 うちのために長生きしてくれるの?」


「……う、うん(真剣)」


 ちょっと茶化して聞いたつもりが、妙に真剣な顔をしていたのでびっくりした。

 そして、もうひとつ紙切れを出して真面目な顔で読み始めた。


「え、ニコ○ットのパンフレット? 禁煙するの?」


「……う、うん(超真剣)」


 彼がたばこを吸うことに、不満不平を言ったことは一度もないのだけど。

 最近になってこそこそと彼がトイレや風呂場に隠れるようになった。

 何をしているのかと思って覗いてみると(ぉぃ)、背中を丸めてたばこを吸っているのだ。

 おいらが煙で苦しまないように、かつ気を使わせないように、吸っていることすら言わずに隠れてこそこそ吸っている。


 ちょっと感動;ω;


 彼は人に対して気を使いすぎるというか、疲れないのかな? と思うときすらあるくらい優しい。

 気を使わなくていいんだよ、って言ったら、これは性格だから直せない、と以前言っていた。

 パっと見、黙ってたらちょっとコワイのに。

「踊る大走査線」に出てくるSAT(特殊なんたら~の軍隊みたいなやつ)の隊長さんを短髪にした感じに似ている、とついこの前気づいた。

 うん、ちょとコワイよね。


 そんな彼が、


「目に入れても痛くないくらいかわいい」

 

「お茶飲んでる姿がかわいい」


 と目を細めて言う姿がおいらはとても好き。


 彼のおうちでは2リットルのペットボトルをそのまま口飲みするのが当たり前らしく、コップなどは一切ない。

 ちっこいおいらが一生懸命両手で抱えてお茶を飲む姿が、ツボらしい。

 彼のツボはおいらにはよくわからない。

 結構大変なんだぞ。



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 彼の家にはパソコンがあるんだけど、この自ブログがバレるのが怖くて開けない……。

 他ブログとか、どうなってるんだろーってまじで気になってたんだけど読みにいけなくてorz

 一時帰宅してパソコン開いて、直行で読みにまわった(爆

 これからまたお迎えにきてもらって、あっちでの生活。

 帰ってきたらまた直行読みまわりだぁ。

  

人を愛する、愛されるってむつかしい

 密かに応援しているmotokano さんのブログの投稿コーナー(?)の「iotus-issueさんの体験談 」から。

 お二人とも、彼氏のいる元彼女を好きになってしまって、そのひたむきな想いに、読んでいるおいらまで切なくなったりどきどきする。


 相手の心が動く時ってどんなだろう?

 おいらを好きになってくれる人は、どんな時に心が動くのかなぁ。


 自分の心が動く時ってどんなだったろう?

 

 おいらは結構、自分が好きだと自覚する前に先に相手に好きだと言われて、後から自覚するパターン。

 最低限の、優しかったり真面目であったりするラインみたいなものを超えていて、かつ、「この人がおいらのこと一番に想ってくれてる」と知った時に気持ちの切り替えみたいなものが起きる感じ。

 ちょっと不良っぽかったりクールだったりする人は確かに魅力的だし、素敵!と思うんだけど、結局ずっと一緒にいたいと思う人っていうのはまた違うんだよね。

 距離じゃなく、気持ちの意味でそばにいる人。

 

 なんだろう、書きたかったことわかんなくなってきた!Σ('д'



 というのも、もうすぐ彼氏がお迎えにくるのでちょっと焦っている-ω-;

 ゴールデンウィーク中は向こうに居つく感じになるので、戻ってくるまでにじっくり考えてまた書こう。

 

彼のこと

 知り合って一年以上、お互いに友達としてしか思っていなかった。


 前の彼氏がいた時にネット上の共通の場で知り合い(出会い系ではない)、意識することもなく普通にみんなでわいわい遊んでいた。

 もちろんりあるでの面識はなく

 おいらは育つ経緯で武道関係の男友達や兄貴分に囲まれて育ったせいか、性格が男っぽいところがあって、姿の見えないネット世界のおいらしか知らない彼の中では、そのイメージはとんでもなく強そうなコワイ女だったらしい。


 前の彼氏と別れてしばらくしてから、近い地域に住む仲間内数人で焼肉を仲間の奢りで食べに行こうという話になった。

 餌に弱いおいらは、もちろん1年半くらいの友人たちを深く信頼していたこともあり、参加。

 みんなすごく良い人で、肉はおいしくて-ω-

 口を揃えて言われたのは、


「え、イメージ違う」


 小さく、華奢で女の子らしい外見。 ←自分で言う

 おいらはこれが嫌で、男みたいな口調を使っていたんだけど。

 だって、子供の頃は同じように男友達と遊べたのに、大人になるにつれて女の子は特別扱い!しだすんだもん。

 友達には女の子として見られたくない、というのが本心。

 りあるでも、しゃべってみればやっぱりお前だなみたいな反応はすぐに返ってくるけども-ω-

 

 彼氏もその衝撃を大きく受けた一人だったらしく。

 たまたま一番家が近く、同じ市内の彼はそれからよく食事に誘ってくれるようになった。

 11歳年上で、なんにもしてこなさそうな優しい人。

 実際、何もしてこなかった。

 歳より若く見えるしちょっと男前であるとは思う。

 独身生活が長いせいか、おいしい外食の店をたくさん知っていて、それはおいらにとってとてもきらきらしたものに思えたのだ。

 他の仲間内からも、兄貴分というよりは父親扱いで。


 ところが彼はたばこを吸う。

 おいらは父親から受けたトラウマのせいで、たばこの煙を吸うと酷い時は呼吸困難になるほど拒絶反応を起こす。

 同乗する車の中でたばこを吸われたのは父親以来初めて。

 なのに。


 彼の吸うたばこ、つらくない!


 今までの彼氏、友達、みなたばこをやめてもらったり吸わないでもらったりしていたのに、彼のたばこの煙がちっともつらくないのだ。

 銘柄のせい? と思って弟と相談したこともあった。

 彼のたばこが平気なことが、彼を信用する大きなきっかけになったことは間違いない。

 というか、もしかしたらトラウマを克服できるかもしれないという、自分への挑戦もあった。


 そんな風に何度か食事を重ねていたまだ寒いある日。

 0時頃、夕食の後のデザートも行こうと誘われ別のレストランへ入った。

 テーブル席に向かい合わせに座ってデザートを注文し、その待ち時間。

 重症の冷え性を持つおいらの冷え切った手を彼が、さっと握った。

 

「うわ、冷たい」


 余りにも自然過ぎて、


「うん、冷え性やねん」


 と素で返してしまった。

 これはひどいな、と言いながら彼は両手で包むようにしておいらの手を温めだした。

 あったかかった。

 そのうち、こっちの手も……と、おいらの両手を、彼の両手で包み込んだ。

 周囲から見れば、テーブルはさんで手を繋いでいる恋人同士にしか見えなかったと思う。

 どきどきするような感覚はなかった、むしろ、落ち着くというか、気持ちまであったかい感じがした。


「白いね」


「指細くて白くて綺麗な手でしょ」


「うん」


「これだけは自慢」


「うん。 すごい」


 暖めながらまじまじとおいらの手を眺めてた。

 女の子にしてはかなり、大きな手だと思う、細くて華奢だから男の人にはよく褒められる。

 

 

 その日、おいらは少し落ち込むことがあった。

 昔から設置していたホームページの掲示板に、前の彼氏が別れてから初めて書き込んできたのだ。

 それは、今のおいらを励まし、心配し、温かく見守っているような内容で。

 幸福恐怖症のおいらは、結婚の約束までしていた2年付き合ったその前の彼氏を、ものすごく幸せにしてもらっていたのにそれが怖くなってフってしまった。

 つまり全ておいらが悪い。

 なのに、恨み言ひとつ言わずにこっそりサイトを覗いては心配してくれていたのだと思うと苦しくてつらかった。

 

 そのことを、彼にぽろりと移動中の車の中で漏らしていたのだ。

 彼は突然真面目な顔になって


「別れたことを後悔しているの?」


「ううん、別れたことは後悔してない。 今は恋愛感情もすっぱりと消えた」


 残っていたのは、家族愛だった。

 強い罪悪感と、前の彼氏がどんな風に思っているかが手に取るようにわかってしまうこと。

 自分勝手な悩みだ。

 

 彼がそのことについて意見したのはそれだけで、あとは優しく相槌を打ってくれた。

 冷え切った両手を彼が温めてくれたとき、真面目な顔になって聞いてくれた時、胸の苦しさがサっとどこかへ飛んでいく気がした。

 それは直接的な恋愛感情ではなくて、純粋に嬉しかった。

 その日のデザートの後、彼は言った。


「俺の家、こない? マッサージしてあげたい、ここじゃこれくらいしかできないから」


 時間は多分、午前2時近かったと思う。

 いくらなんでも、そういうコトを意識しない歳ではない。

 余りにも冷えたおいらの手は血行が悪くて、その原因が持病の肩こりであることは彼も知っていた。

 パっと見、古いナンパの手くさい感じもする。

 ただ、この時に何かを感じた。

 優しい彼の中の孤独みたいなものが見えた気がしたんだ。


「何もしない?」


 ちょっと茶化す感じで返した。

 友達、というのが確立していたのでこういう聞き方をした。


「無理やりそんなことしないよ。 そういうコトやるなら楽しんでやりたいし」


 下ネタを言わない人ではなかった。

 でもこの後、何度部屋に遊びに行っても彼は何もしなかった。

 言うだけあって肩こり、首こりのマッサージは素晴らしく上手で、喜ぶおいらを見て嬉しそうにしていた。

 

 床に畳んだ布団を置いて背もたれに使い、それにもたれてテレビを見たりパソコンを見たり。

 そんな日が続いたある日、背もたれにもたれずに座ってテレビを見ていたおいらは、疲れてバサっと後ろへ倒れるように布団の塊へもたれた。

 そこにたまたま彼の腕があった。

 自動的に腕枕状態に。

 隣で座っていた彼は、まさかそんな勢いでおいらが倒れてくるとは思わず腕を伸ばして座っていたのだ。

 軽く飛び上がる。


「あ、ごめ」

「しいちゃった、痛かったでしょ」


 なんとなく照れ隠しに後ろの言葉を付けた。

 腕枕状態になったことに対してではなくて、あくまで腕をしいてしまって痛かったのではないかという点に対して謝ることで、変な気を使わせないんじゃないかと思った。


「ん、いや、全然。 そのままでいいよ」


 そのままでいいよと言われてもと思ったが、拒否することもないかと思って座りなおした。

 正直、男の人として見ていなかったので兄か父と一緒にいるような気分になっていた。

 それ以降、腕枕のような状態で座ることはお互いに抵抗なくなった。

 ただ、このとき恋愛対象として見ていなかったのはおいらだけだったということは後になってから知るのだけど・ω・


 彼の腕は「自称人間湯たんぽ」と言うだけあって暖かい。

 部屋はストーブが焚かれて、ホットカーペットまである。

 おいらがテレビを見ながら、そのままうとうと寝てしまうことが頻繁に起こるようになった-ω-;

 横向きでしか眠れないので、寝てしまう時は横(彼の体のある方)を向いている。

 それでも彼はその状態のまま、おいらに毛布をかけ、頭を撫でるだけで何もしなかった。

 笑って、


無防備やなー」


 と言っていた。


 ※腕枕の時点で「ちょっかい出されている」と言えば確かにそうとも取れる気がしなくもなくもない気がするが、その時はそんな風に思わなかったのだ。


 そんなことが何度かあって。

 またある日、うとうと睡眠から起きたおいらに、彼が腕枕の状態のまま倒れ掛かってきたことがあった。

 腕枕の状態から、横向き(彼の体の方を向いている)に寝ているおいらに倒れ掛かってくる。

 つまり、抱きしめられるような状態。

 さすがに、うわΣ('д' と思った。

 彼はそのままの状態で何事もなかったように髪を撫で始めた。


「さらさらだ」


 のんきな声だった。


「……うん、これも自慢」


 ほぼ黒の、少し明るく見える程度の茶色染め、ストレートの細い、さらさらした髪。

 自慢の手指と共に、親から遺伝しなかった自慢のひとつ。

 そして彼は、おいらのことを女の子として見ていることを白状する。

 11歳も年下の子を? と最初に思ったけれど以前、前の彼女は9歳年下だった、と言っていたのを思い出した。

 歳を取るごとに、相手の上限は上がっていくけれど下限はそのままなのだとも言った。

 抱きしめられたまま聞いた。


「うちのこと好き、なん?」


「好き」


 彼は驚くほど素直に、即答で答えた。


「そっか」


「うん」


 そんなことを言って、その日はそのまま帰った。

 もちろん何もされずに。

 ……いや、額にキスはされたんだった。

 女の子として見ているのか、とやっと認識したおいらは、対等な友達関係はもう築けないと思った。

 過ごした時間を思い起こして、


「これからはパパとして見るのやめる!」


 と、次の日の昼にきた彼のメールに返信した。


「じいちゃんとか……?」


 ↑※本気で心配したらしい


「女の子として見ているなら、うちも男の人として見ることにする」


「なるほど……」


「良い話でしょ?」


「うん!!」


 この人を好きになれたら幸せだろうなって思ったのだ。

 後日同じようにご飯を食べて、同じように過ごして。

 腕枕から抱きしめられて。

 100%好きにならないと付き合えないと思っているおいら。

 なんとも思っていなかった頃が不思議な程、彼のことが好きになっていた。


「あぶね、ちゅーしたらその気になっちゃうわ。 俺の理性それさえしなきゃ平気だから安心して」


 いつもの腕枕の状態で、ちょっとした弾みに顔が近づいてしまった時、彼は動揺しながらそう言った。

 おいらのいたずら心がむくむくと芽生えた。


 彼の、頬にキスした。

 唐突に。


 目を丸くして驚いたのは彼。

 それがかわいらしくて、もう一度頬にキスした。


「うれしい」


 彼は抱きしめる状態から離れ、彼だけ仰向けに戻ってそう言った。

 おいらは彼をじっと見た。


「好き」


 彼は体勢をまたこちらへ倒し、抱きしめずにこちらへ向き合った。

 髪を撫でて、じっと見つめられた。

 すごく真面目な顔、そのまま唇が合わさった。

 やわらかくて、優しくて、すごく幸せだと思った。

 



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 ※長い-ω-;

  文字にして初めて、自分の気持ちの動きがわかった気がする。

  どんな風に好きなのか、わかった気がする。