彼と初めてケンカした | 幸福恐怖症を抱えた女の幸せ探し

彼と初めてケンカした

 

 今(木曜の夜)、また残業のあと彼と食事行ってそのまま向こうでお風呂入って今帰ってきた。

 

 

 ケンカした。

 

 

 いや、ケンカじゃないな……うーん、でも彼とあんな状態になったのは初めて。

 

 

 火曜の朝、彼はあまり眠れなかったらしくてメールで眠い眠いと言っていた。

 水曜の朝、相当寝たらしいがそれでも眠い眠いと言っていた。

 木曜の今日も、相当寝たらしいのに仕事中とても眠かったらしい。

 

 

 火曜に食事しようかどうしようかとメールで話していた。

 彼があまりに眠そうだったので火曜の食事はスルーし、木曜に行くことになった。

 とても眠そうだったので、体調が悪いのかもしれないと思って、やめておく? と聞いたけど大丈夫とのことだったので近所のおいしーいラーメン屋さんへ行った。

 お寿司かラーメンか、どっちがいい? と二人で究極の悩みを思案しまくって、結局ラーメンにした。

 

 

 食べた後、彼のマンションへ行き、彼のマッサージをしながらテレビを見ていると彼がおいらの膝枕でうとうとしだした。

 そのうち、本気で寝ようとしだす。

 時計を見たら22時半

 もうお風呂に入って帰る準備をしなければならない時間を若干過ぎている。

 午前1時までには帰宅しなければ二人ともつらい。

 おいらは焦った、また明日睡眠不足で彼が眠い思いをすることになってはいけない、と。

 

 

 おいらのお風呂は大抵40分~1時間くらい。

 相当短縮しても30分はかかる。

 彼には膝枕の代わりに抱き枕を渡して仮眠を取っていてもらうことにして、慌ててお湯を貯めながら準備し、体や頭を洗い、お湯がちょうど貯まる頃に洗いが終わった。

 普段、いつもおいらが湯船に浸かるタイミングで彼を呼ぶ。

 だから今日も同じように彼を呼んだんだ。

 

 

 返事がなかった。

 寝てもうてる! と焦って彼を何度も呼ぶ。

 もう彼もこのタイミングでお風呂に入ってしまわないと、彼のお風呂には追い焚き機能がない上に湯船の蓋がないために湯が無駄になる。

 そしておいらを送ったあとにシャワー、となると彼はきっと面倒になって、入らない!(汗

 明日の朝入る~なんて言って、ぎりぎりまで寝てて入れなくなるのはいつものこと。

 そうすると汗っかきの彼は職場でつらーい思いをするのだ。

(最近涼しくなってきたためオフィス内のクーラーが弱まって、彼は暑い~と言っていた)

 

 

 おいらも湯に浸かる前で寒かったけど仕方なく脱衣所に降りて、もう一度、彼を呼んだ。

 今入らないと後がつらいよ、と。

 ようやく気がついた彼はしばらくそのまま座っていたかと思うと、超眉間にシワを寄せてふらふらとこちらへ。

 

 

 眉間にシワを寄せた顔が、すんごい怖い。

 

 

「顔、怖いよう」

 

 

 任侠映画に出てくるヤクザかと思う。

 こわー…と思いつつ、

 

 

「湯船で温まると気持ち良いよ^^」

 

 

 と励まし続けるも、彼、完全無視

 

 

 すんごい怖い顔したまま、風呂のイスに腰掛けて、そのまま目を閉じてじーっとしてる。

 眠くて機嫌悪いのか、怖いけど仕方ないなぁ、と思ったけど、今入らないといけないのも仕方ないことだと諦めて、シャワーを出してあげた。

 足から少しずつかけて、背中にもかけ始めた時。

 

 

 彼が、おいらの手からシャワーヘッドを奪った

 おいらが何を言っても無視してシャワーを浴び始めた。

 

 

 さすがにおいら、凹む;;

 取ったというより、奪った、が正しい言い方っぽい感じ。

 こんな彼を見たのは付き合って以来初めてだった。

 どんなに眠くたって、寝ぼけていたって、寝てる時に腕を踏んずけたってにこにこしていた彼。

 高血圧だし(←関係あるかわかんないけど)、寝起き機嫌悪いなんてこともないし。

 彼がそういう人でなかったら仮眠させたり起こしたりしない

 何か気に障ったのだろうか、起こし方が悪かったのだろうか、怒ってるのかな……。

 

 

 いくら話しかけても超眉間にシワ寄せたままでスルーさるるのがつらくて、おいらも諦めて口を閉じた。

 湯船の中で体育座り。

 逃げたらいかん、眠いだけなんだ、きっと眠いだけ。

 彼はおいらが黙ったことにも無反応で、頭と顔を洗い終えたようなのでおいらは先回りして、体を洗うタオルを折りたたんで濡らした。

 

 

 彼、無言でそれを、バッと奪う。

 

 

 しんどそうだから、洗ってあげようと思ったんだけどダメだった。

 仕方なく見ていた、背中以外を洗い終えたところでおいらがその体を洗うタオルに手を伸ばした。

 背中洗うよ、のいつものサイン。

 

 

 彼は、ちらっとこちらを見やって、おいらが掴みかけたタオルに視線を落とし、おいらの手を振り払った

 

 

 がーん。

 

 

 ずうっと、眉間にシワ寄せまくり。

 かなりショックだった。

 さわるな、とでも言われたような気分だった。

 怖かった。

 あの眉間のシワに見覚えがあった。

 父親が癇癪起こした時、苛ついた時と同じシワなんだ。

 彼は怒ってるんだ、怒ってるんだ、頭の中がぐるぐるして、泣きそうになるのを必死でこらえて。

 

 

 そういえば前の前の彼氏もこんな感じのことがあった。

 何してても完全においらに無関心で、後々になってから元彼の方の恋愛感情が切れてからもそれを言わずに別れることなくいいように遊ばれてたことに気づいた。

 二度とあんな思いはしたくない、恋愛で「生きていられないかもしれない」と思ったのはあの人の時だけ。

 まだブログに書いてないけど、いつかちゃんと書いて気持ちを整理する必要がありそう。

 

 

 体を洗い終えた彼が湯船に入ってきたけど、体がなるべく当たらないようにおいらは小さくなった。

 何かまた気に障って、怒らせるのが怖かった。

 

 

 そんなことを考えてたら精神的に不安定になってきて、涙がこらえきれなくなって、湯に混じって泣いた。

 声は出さずに泣くのは慣れてるし(?)、彼は眉間にシワを寄せたまま目を閉じてておいらのことなんて目もくれない感じだったから全く気づいてない。

 多分途中で父親と前の前の彼氏のトラウマを思い出したのが致命的。

 加えて彼の豹変ぶりに、嫌われてしまったのかもしれないと不安でいっぱいになって。

 

 

 おいら、黙って一人で湯船から出た。

 

 

 必ず出る時は一緒に出るのだけど、(そのためにおいらだけのぼせてしまうこと多々あり)その場にいるのも、声をかけるのも怖くて。

 黙って出ようとして半身が湯船から出た時だった。

 彼が異変に気づいて、おいらの足を掴んで、くるぶしにキスした

 

 

「あがるの?」

 

 

 正直困惑したけど、半ばパニックになっていたのかおいらは余計に涙がこらえきれなくなって慌てて目を洗って黙って出た。

 手早く体を拭く。

 それが終わらぬうちに彼が湯船の栓を抜き、風呂場を出ようとしてる音がした。

 目を合わせたら泣いてしまいそうなので、合わせずに彼にバスタオルを手渡す。

 

 

「ふぁー、やっと目が覚めたー」

 

 

 あがってきた彼はいきなり、すっとんきょうな声をあげた。

 おいらはそれには返答はせず、部屋に戻って顔の保湿をしてお茶を飲んだ。

 お茶をコップに注ぎ直して、彼に手渡した。

 

 

「あぁーそうか、今日はスプレーがないんだなー」

 

 

 お泊りの時しか持ってきていない、シャンプー後の髪の毛用のスプレー美容液のことだ。

 妙にカラ元気というか、一人でいきなりしゃべり始めた彼。

 頷くだけのおいら。

 

 

「なに、そんなに寝起きの顔怖かった?w」

 

 

 と言われたので、頷いた。

 

 

「ここで寝てたとき?」

 

 

 と言われたのには首を振った。

 おいらが怖かったのは、お風呂で冷たかった彼の方。

 だけどおいらが首を振ったことに彼は気づかなかった。

 

 

「ちょっと外でたばこ吸ってくる^^」

 

 

 たばこ吸った直後にはキスができなくなるので、彼がたばこを吸いに外に出る時は必ずキスをする。

 彼はいつもと同じようにそれをねだりにきた。

 おいらは困惑して下を向いたけど、じーっと前にいる彼をふと見上げた瞬間にキス持ってかれた。

 ふわっとしていてほろ苦いキスだった。

 

 

 彼がたばこを吸いに行っている間に髪を乾かし、歯を磨いた。

 おいらの顔を覗きこんで、ただいまと言い、戻ってきた彼はパソコンでネットをしている様子で、おいらはその間に服を着た。

 多分今までで帰り支度最速。

 

 

「うわっ、もう着替えできてる」

 

 

 おいらは内心、逃げたいと思い始めてた。

 今日は来るべきじゃなかった、帰らねば、と。

 

 

「帰る……」

 

 

「ちょっと待ってな^^ トイレ行ってくるから(笑」

 

 

 こういう時彼の鈍感さは便利かもしれないと思った。

 おいらがナイーヴになっていても気づかない。

 おいらは別に怒っているわけではない、怖がっているのだ。

 こんな状況だと、男の人が「なんなんだよッ!」とか言って逆ギレしそうなもんだ。

 

 

 玄関をささっと出て、彼が鍵を閉めている間に階段を下りた。 (←2階)

 

 この時そんなに意識はしていなかったのだけど、かなりおいらの足が速かったらしく、

 

 

「こら、そんなすたすた先行かないの」

 

 

 と言われて、手を引かれた。

 そのまま黙って手を繋いで車に乗車、彼がおいらの顔を覗きこんだ。

 

 

「どした? 元気ない? いつもと違う」

 

 

 彼もこの時気づいたのだろうが、おいらもこの時気づいたことがあった。

 彼、風呂でのこと記憶になさげ。 (爆

 

 

「何か怒ってるの? どうしたの?」

 

 

 気づいていなかったのか、風呂でのこと覚えていないのか、と思ったら、悲しいのか安心したのかわからないけど、彼がじっとこっちを見ていることで涙がとまらなくなってしまった。

 今度は隠す湯がないのでぼろぼろこぼれる。

 

 

「!」

 

 

「怖かっ……たの……」

 

 

 彼はものすごく驚いたようだった。

 

 

「えっ、眉間のシワ? いつものことだよ、怒ってないんだよ、そんなに怖かったの?」

 

 

「お風呂でタオル、バッて取られて、話しかけても無反応で……」

 

 

 また彼が首を傾げた。

 

 

「え、あれ? そうだっけ? 頷いてたつもりだった、俺」

 

 

「ごめん、タオルそんな風に取ったつもりなかった。 そ~っと取ったつもりだった。 怒ってないのはわかってくれる?」

 

 

 必死な彼を見て、ホッとしてどんどん涙出てくる。

 小さく二度頷いた。

 

 

「嫌われたかと思っ……;;」

 

 

「そんなことないって! 怒ってないから^^ でも怖がらせたのはごめん」

 

 

 おいらをじっと見て、頭を何度も何度も優しく撫でてくれた。

 

 それから車を走らせて、赤信号になる度においらの手を握ったり頭を撫でてくれた。

 彼なりにすごく必死になってくれているように感じて、事なきを得られたことを実感した。

 

 

「明日はお寿司食べにいこうか、こないだのお店、マジシャンきてるかもだし^^」

 

 ※最近手品番組で紹介されてる、スキンヘッドのおっさんマジシャンがたまに現れる寿司屋が同じ町内にあるのだ。

 

 

 おいら口を開くのが苦しくなってしまって黙っていたけど、ばいばいするときに「気を付けてね」だけは言った。

 それだけは言わなきゃ、って。

 

 

 まだ喉の奥が苦しい。

 眠れるか不安だ。