彼の気遣い | 幸福恐怖症を抱えた女の幸せ探し

彼の気遣い

 
 トレス性急性胃炎(←前回記事参照コチラ) の薬のせいか、異常な空腹感のようなものと吐き気が同居して気持ち悪くて、吐くかもしれないという恐怖から物を口に入れるのが怖かった。
 そんな時、彼がゼリー状の栄養補給ものをたくさんと、プリンとエクレアとシュークリームを買って家まで持ってきてくれた。
 

 
 正直、彼の顔を見た瞬間、涙がこぼれそうになってうまくしゃべれなかった。
 ホッとしたというか、上手に言い表せないけどレジ袋いっぱいに詰めたものを抱えてにっこり笑う彼を見て、胸がいっぱいになって泣きそうになった。
 医者に診断されたストレス性急性胃炎、やっぱそうかもってこの時思った。
 彼の顔を見ただけでこんなに泣きそうになるなんて、本当に情緒不安定になってたんだ。
 
 
「プリン、3人分あるからよかったら3人で食べて」
 
 
 彼にはほぼ全部家庭環境や現在の状況を話してある。
 本当は肉親のことを悪く言う子だなんて思われたくないけど、彼は理解してくれるって思った。
 その上で、彼は3人分のプリンを買ってきた。
 おいらたちの気まずい状況を知りつつ。
 一瞬おいらは、渡すのが気まずいから渡さなくていいかな……なんて頭を過ぎった。
 
 彼は周囲をきょろきょろと確認してから軽く二度、口づけした。
 終始笑顔で、その顔を見ただけでまた泣きそうになった。
 
 
「じゃあ帰るから、ゆっくり休むんやで」
 
 
 見送ろうとするおいらに、
 
 
「いいから、中入って(笑」
 
 
 と笑顔で手を振ってくれた。
 この時が一番泣きそうになった;ω;
 
 
 若干涙目になりつつ、それがなくなってから玄関からリビングへ。
 3人分のプリンどうしようか、と思案したけど今ひとりで3人分のプリンを食べられるほど元気でもない。
 恐る恐るリビングの母上に話しかけた。
 
 
「今、これ……彼氏が3人分プリン買ってきてくれたから、一つずつ食べて……」
 
 
 母上の目が輝いた。
 態度急変とはこのことか。
 
 
「うわぁ! 本当?? ありがたいわー!! ありがとうってゆっといて!!」
 
 
 ……餌付けに弱い血の元はここですか?(汗
 連日無視されてたのにいきなりフレンドリー。
 その後もかなりしゃべりかけられる。
 数分して弟も帰宅し、母上から彼が持ってきてくれたプリンの話を聞かされる。
 
 
「うわっ、マジで?! プリン! うわーめっちゃうれしいわーありがとうゆっといて!!」
 
 
 ↑何気にコメントがよく似ている。
 これまた餌に弱い血発見。
 投げやりな物言いでしかしゃべらなかった弟がまるで子犬だ。
 その後もいきなりおいらの体調を心配しだして、
 
 
「姉貴、きゅうりだけでも食べときや」
 
 
 一体何事かと返事に困るおいら。
 姉貴、とか言うのも弟が機嫌のよい時。
 普段は名前呼び捨て。
 
 

 
 急性胃炎を起こすほどのストレスを受けていたものは、プリンふたつで解決するものなのか!!(嘆
 

 
 
 ありえね……ネタすぎ。
 プリン速攻で消費されて感動されてますた。
 プリン強すぎ。
 病院代より安いやん。
 
 
 彼はこれを予測していたのだろうか?
 おいらが餌に弱いと知っているはずで、もしやその家族も、と思ったのかしら。
 明らかにストレスの主な原因はこの二人であり、彼なりに緩和しようと思ってくれたのかもしれない。
 ただ単においらの分だけ買ってきたなら、逆においらに対し二人が反感を持ったかもしれない。
 
 ほんとのとこはわかんないけど、できた人だなぁ。
 その歳までほんとに独身でいてくれてありがとうだよ。
 早く、ちゃんと会いたい。