宗教×選挙
ちょい前の「弟とケンカ」の記事 の件で心がくたくたになってたおいらは、日曜深夜の帰り道に彼に少し相談した。
弟と母に甘くなってしまっていたのは、その愛情だけではなくて、自分の弱さからくるものが大きいと気づいたこと。
悪者にされるとわかっていても、ひとりぼっちになるのが怖くて拒絶しきれなかったこと。
弟と母がいなくなると、親戚からも縁遠いおいらは、孤立無縁になってしまうこと。
「もうひとりじゃないやろ?」
運転しながら彼がそう言って、赤信号で停車中においらの手を握ってくれた。
しぃ姉さまの言う通り、彼がいたから心の余裕ができて、気づけたんだと思う。
自分の弱さとの戦いに負けずに頑張ろうって思った。
*********************
その連休の土日。 (時間軸前後しますm(。。)m)
彼の部屋にはとんでもない数の電話とインターホンが鳴りまくった。
そう、総選挙。
土曜は夜遅くまで、日曜は朝早くから鳴りまくってて睡眠時間かなり削られた。
昼までに、留守電に11件ものメッセージ。
決して電話にもインターホンにも出ようとしない彼に、さすがに見て見ぬ振りすらできなくなってきて。
「これって宗教の人だよね……? 選挙のことだよね?」
「う、うん……」
「素朴な疑問なんだけど、宗教の人たちって、その宗教であること以外にその候補者を推薦する理由ってあるのかな?」
「え?」
「郵政民営化にもあまり興味がないって昨日言ってたやん? じゃあなぜその人に投票したいと思って、他人にまで勧めるのかな、って」
「えっと……」
「職場でその宗教の人にその候補者に投票してねって言われて、イエスと答えなかったらいじめられたの。 どういう理由で勧めてるのか言ってもらえたら、考えますと答えられるけど聞いても言わないし」
「え、本来は理由をこう説明してくださいっていう資料が配られるんだけど……、俺は今回もらってないからわかんないな……」
Σ('д';
おいらが聞いたのは、その人個人がどうしてその候補者に投票したいと考え、さらに他人にまで推薦したいと思ったのかということ。
しかしその説明する理由まで、宗教の方で用意されて配られるとわ……予想以上の答えにおいらもうろたえた。
「え、いや、そうじゃなくて、○○自身(彼の名前)が宗教とは関係なく、どうしてその候補者に投票したいと思ったのかな? って」
彼は答えに詰ってしまった。
恐らく生きてきて一度もこんな疑問をぶつけられたことがなかったのかもしれない。
少し考えてから、思いついたように彼が再び口を開いた。
「……ほら、消去法だよ」
「消去法?」
「○○党はいまいちだし、○○党は嫌だから、その党に、って」
あながち嘘とは言い切れない、言ってることは正しい。
でも今思いついた、としか思えない感じもした。
「うん、確かに」
このあと、投票行ってこよっかな、と言っていた彼が、行くのをやめると言い出した。
そして宗教関係者からの電話に、ついに出た。
「ついさっき行ってきましたよ、はい」
と話してるのが聞こえた。
もちろん行ってない。
それっきり、電話もインターホンもびっくりするくらい、ピタっとやんだ。
まるで見張られてるみたいでちょっと怖かった。
「これで、もう電話こないから。 うるさくてごめんね」
19時頃、おろしそばを夕食に作る予定だったのを彼がやると言い出してせっせと用事し始めた。
なんだか無理してるようにも見えて不安になって、
「ねね、投票行くの我慢してない? 行ってきていいんだよ、その間にご飯しておくから」
「ううん、我慢してないよ^^」
「おいらのせいで我慢してない? 行ってくる? 行ってきていいんだよ?」
「ううん、そんなことないよ、行くのやめただけ」
せっせと用事する彼の後ろについてまわってちょっかい出しながら連呼する。
「そう? ほんとに? 我慢してない?」
「うん^^」
行くなという意味で問い詰めたのではないのだけど、彼なりに考えたのかなぁ、と前向きに捉えることにした。
食事が終わった後、それでも気になったおいらは抱っこされながらもう一度聞いた。
「本当に行かなくてよかったの? 後悔してない?」
「うん、いいの^^ せっかくend-earがきてるんだから、end-earの方が大事」
(おいらがなぜ投票しないかは「彼のこと、おいらのこと。」の記事 の後半部分参照)
彼は言わなかったけど、おいらがぶつけた疑問で彼も何かしら自分の中で気づいてくれたのかもしれないと思った。
そして、宗教よりもおいらを選んでくれるんだってわかったのがすごく嬉しかった。
投票に行くことは彼の言う通り「国民の義務」だけど、ちゃんと自分で考えて投票しなければ意味がないとおいらは思うんだ。
きちっと自分の頭で考え、判断できるようになったらいつか一緒に投票に行きたいと強く思った。